アトピーが悪化する原因は食べものにもある?

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アトピー性皮膚炎で悩んでいる人、案外多いと思いませんか。
アトピー性皮膚炎は、一度発症してしまうと治療に長い時間がかかると言われていますし、
「絶対治る」という特効薬や標準治療が確立されているわけでもありません。また、ある人に効果があった治療法が他の人に効果があるとも限りません。
 
アトピー性皮膚炎の原因は何なのか、さまざまな機関が長年研究を重ねてきました。
その結果、現在では主に免疫機能のアンバランスと皮膚バリア機能の低下が原因で、食べものにも大いに関係があると言われています。
 
そこで今回は、個人でも比較的取り組みやすい「食事」について、気をつけなければならないこと、気をつけたほうがよいことなどをまとめてみました。アトピー性皮膚炎が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
 

アトピー性皮膚炎とは


アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹や炎症を主な病変とする皮膚の病気のことです。良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、なかなか完治せずに慢性化しやすいことが特徴のひとつにあげられます。
また、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人にもアトピー性皮膚炎の症状が見られることも多く、体質や遺伝の影響もあることから、症状が出てしまったら無理のない範囲で続けていける治療法を探していかなければなりません。

アトピー性皮膚炎と食べものの関係って?

アトピー性皮膚炎の治療法のひとつに食事療法があります。食事内容によって症状が悪化したり改善したりすることから、アトピーの原因は食べものにあるという説もあります。もし食べものがアトピーの原因であるならば、食事は毎日のことですから、食べてはいけないものを避けつつ、食べたほうがよいものを効果的に取ることで、少しでも症状を改善させていきたいですよね。

アトピー性皮膚炎の人が避けたほうがよいもの


まずは、アトピー性皮膚炎の人が避けたほうがよい食べものをご紹介します。

かゆみの原因、ヒスタミン


アトピー性皮膚炎の深刻な症状のひとつがかゆみです。現在の研究結果では、アレルゲン(抗原)が体内に取り込まれた際に放出されるヒスタミンという化学物質が刺激となることで、皮膚にかゆみが起こるということがわかっています。摂取するヒスタミンの量が多いとそれだけかゆみも強くなる可能性がありますので、なるべくヒスタミンを含む食品は避けたほうがよいでしょう。
ヒスタミンを多く含む食べものは、イカ、エビ、カニ、もち、なす、豚肉、そば、マヨネーズなどです。チョコレート、コーヒー、ビール、ワインといった嗜好品にも多く含まれていますので、注意しましょう。

お肉は、量と部位に気をつけて


お肉の食べすぎもアトピー性皮膚炎の敵です。お肉にはたんぱく質が豊富に含まれていますが、消化されにくいという性質を持っています。アトピー体質の人はたんぱく質の消化分解能力の低い場合が多く、腸内に留まったたんぱく質がアレルゲンに変化し、アトピー性皮膚炎の症状悪化を招くことになります。
また、お肉の脂には飽和脂肪酸と呼ばれる成分が含まれています。お肉料理のお皿やフライパンを洗うときによく見られる白く固まった脂肪、あれが飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は室内の常温でも白く固まってしまうほど溶けにくいのです。このことから、たんぱく質と同様、お肉の飽和脂肪酸は体内で消化吸収されにくいということがわかると思います。
とはいえ、お肉をまったく食べないというのはストレスがたまるものです。なので、アトピー性皮膚炎に悩んでいる人は、お肉料理の回数を減らしつつ、お肉料理を食べるときは、できるだけ脂身の少ない部位を選ぶようにしましょう。

ファストフードは控えよう


フライドポテトやフライドチキン、から揚げにとんかつ、スナック菓子。このような食べ物はとてもおいしいですよね。でも、これらの料理に使われる油は酸化しやすく、酸化した油とたんぱく質が反応すれば、立派なアレルゲンになってしまいます。なので、アトピー性皮膚炎に悩んでいる方が湿疹やかゆみを酷いと感じるときは、油を使った料理は避けるようにしましょう。
ちなみに、今までファストフードを好んで食べていた人が油料理を控えた場合、アトピー性皮膚炎の症状がはやく改善されたという報告もあります。どうしてもファストフードを利用しなければならない場合は、フライドポテトの代わりにサラダを注文するようにしましょう。

スイーツも控えめに


スイーツの中でも、チョコレートの原料であるカカオにはアトピー性皮膚炎を悪化させるヒスタミンが含まれています。
だからといってチョコレートを口にしなくても、ケーキやクッキーなどに使用されているマーガリンやショートニングには、トランス脂肪酸が含まれており、こちらもアトピー性皮膚炎を悪化させる可能性があります。
しかし、お肉と同じくスイーツをまったく食べないというのは無理がありますよね。
なので、おやつを食べるときは甘いものだけで空腹を満たすのではなく、小魚やナッツ類もあわせてとるようにしましょう。

食品添加物にも気を付けよう


また、レトルト食品やコンビニ弁当、ラーメン、ハム、ソーセージなどには食品添加物が含まれており、これらもアトピーにはよくないとされています。食品添加物とアトピーの関係性についてはまだ明確になっていない点も多いようですが、アトピー性皮膚炎の方は避けたほうがよいでしょう。
ちなみに、調査機関によってはもち米や香辛料、コーヒー、牛乳なども避けたほうがよいという報告がありますが、一度にたくさんの食品を除外すると大変なので、まずは「油の量を控える」「スイーツの量を控える」「お肉の量を控える」ことを心がけてみましょう。

アトピー性皮膚炎の人が食べたほうがよいもの


では次に、アトピー性皮膚炎の人が食べたほうがよいものをご紹介しましょう。
アトピー性皮膚炎の原因のひとつは、免疫機能のバランスが崩れることです。ということは、免疫機能を高めてくれる食べものを積極的にとるようにすると、アトピー性皮膚炎の症状改善が見込まれるということです。
もともと、人間の体内にはいろいろな免疫細胞が存在しているのですが、その60~70%が腸に集中しています。腸は食べものとともに入ってくるアレルゲンやウイルスを、体内に侵入させないようにしているのですね。
では、免疫力を高めてくれる食べものとは具体的に何でしょうか?

まずは乳酸菌をとり入れよう


免疫力を高めてくれる食べもの、その代表格は「乳酸菌」です。乳酸菌は「善玉菌」としても有名ですね。乳酸菌はヨーグルトなどに多く含まれていますので、スーパーなどで手軽に入手することができます。最近ではコマーシャルやテレビ雑誌の特集でも、ビフィズス菌やR-1乳酸菌など、特に免疫機能のバランスを整える効果の期待できる製品が紹介されています。ヨーグルトは食欲のない季節でも食べやすいので、ぜひ毎日の習慣として取り入れたいものです。

発酵食品、食物繊維は手軽でおすすめ


ヨーグルトと同じく腸内環境を整えてくれる食べものとして、味噌や納豆などの発酵食品、しそ、ホウレン草、ピーマンなどの緑黄色野菜、ひじき、海苔などの食物繊維があります。野菜の味噌汁に納豆と海苔、ポリフェノールを多く含む緑茶を加えると、アトピーの人にとっては理想的な朝食メニューになります。

お肉がダメなら魚を食べよう


先ほどアトピー性皮膚炎の人はお肉は控えましょうとお話しました。では、魚はどうでしょうか。
魚には不飽和脂肪酸という成分が含まれています。不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減少させてくれますし、お肉に含まれる飽和脂肪酸と違って低い温度でも固まりにくいという性質も持っています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これらは不飽和脂肪酸の一種で、「オメガ3系」と呼ばれているグループです。オメガ3系は体内では合成されない成分なので、食べものから摂取するしかないのですが、これらは血液をさらさらにしたりアレルギーを抑えたりする働きがあるので、アトピー性皮膚炎の症状緩和にも効果的であるといわれています。
このことから魚はアトピー性皮膚炎の方にとってよい食べものということがわかりますね。しかし魚は鮮度が落ちるとかゆみの原因になるヒスタミンが増えてしまいますし、生食はアレルギーが出やすいので、調理方法や保存方法には十分気を付けて食べるようにしましょう。

抗ヒスタミン効果のあるもの


甜茶(てんちゃ)というお茶をご存知でしょうか。甜茶はヒスタミンを抑えてくれる効果が高く、「天然の抗ヒスタミン」と呼ばれているほどです。味は若干甘めで、紅茶のようなきれいな色合いのお茶です。最近は鼻炎や花粉症対策として飲用する人も増えていますが、アトピー性皮膚炎の方にもぜひ飲んでほしいお茶です。
甜茶が手に入りにくいという方は、緑茶にもヒスタミンを抑えるカテキンという成分が含まれていますので、普段から緑茶や甜茶を飲む習慣をつけておきたいですね。

まとめ


アトピー性皮膚炎の原因は、現在でもハッキリと解明されていない点があり、遺伝やもともとの体質が原因となる場合もあります。しかし、日々の食生活を少しずつ改めることにより、症状を改善させることができるかもしれません。食べものは身体を構成する基になるものなので、食べものを変えると体質も変えることができるのです。
1日や2日、アトピーによいものを食べたところで劇的に症状が改善するわけではありませんが、1ヶ月、2ヶ月と経つうちに効果を実感できるようになってくると思われます。
しかし、アトピーによいからといってそれだけを食べ続けることは危険です。何事もバランスが大事なので、魚、野菜、お肉、豆類など、和食中心のメニューでバリエーションよく献立を考えましょう。
 
アトピー性皮膚炎の治療には、内部からのアプローチ(食事内容や体質改善など)と外部からのアプローチ(保湿やかゆみ止めなど)が必要と言われています。皮膚の炎症が続くと、それに伴いかゆみも続きます。かゆみの箇所を引っ掻くことにより傷口が広がり、さらに炎症が悪化して皮膚バリア機能が低下しますので、自分に合った食事内容とスキンケアを見つけながら、免疫機能の改善とバリア機能の回復を目指しましょう。

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